育成会々長就任に当たって

portrait_fath_miyazaki_150pxカトリック吉祥寺教会 主任司祭 宮﨑 保司
 この度、当教会所属、セントメリー・スカウトの育成会々長に就くにあたり、スカウトたち自身がスカウト精神の意識向上とそのステータスについて、もっと自覚を深めていただければと思います。特に、神と国とに誠を尽くしと『ちかい』の第一に置かれている「神へのつとめ」を最優先するように望みます。
 元来、「ちかい」を口にすることは命を懸けて守り実行することを意味していました。聖書の記述にも、動物を引き裂き、神との誓いを交わすアブラハムのことが旧約聖書に記されています。(創世記15章)それは誓いを破った場合はこの動物のように引き裂かれて当然であることを表す意味が込められているからです。また、新約聖書にもイエスさまは、安易に誓いを立ててはならないと教えています。(マタイ5章33節~)
スカウトムーブメントは、また、「そなえよ常に」をモットーとして行動するように奨励しています。このモットーが口先だけの言葉で終わることの無いように期待します。

 この度の東日本大震災は津波、原発事故…等、未曾有の被害をもたらしました。それは、何時、災害がわれわれを襲い生命を奪うか、誰も分からないことを如実に教えてくれました。物質的なものだけの備えではなく、精神的な備えも必要なことを合わせて教えています。“人のいのちは草のよう、明日には花を開くが、夕べにはしおれて枯れる”と、詩編は記し、“明日有りと 想う心の 仇桜さくら 夜半に嵐の 吹かぬものかは”と、親鸞聖人は詠んだと言われています。いづれも人生の短さを諭しています。
 神に誠を尽くし、神にすべてを委ねて生きることこそ精神的な意味の備えといえます。
両面において、当カトリック吉祥寺教会は育成母体として六十数年歴史と伝統、実績と誇りを持って、これからも、セントメリースカウト活動の発展と育成のために協力と援助を続けていきたいと思います。